まさに育成重視の組閣
先日、漁信基ビルで庄子GMとともに記者会見した森山監督。
会見では「監督就任の決意」「目指すフットボール」についての資料を報道陣に配布するなど、さながらプレゼンの様相。
詳しくは別の記事にて書こうと思うが、会見での主だった事柄を並べると…
◆2023年リーグ16位という結果を謙虚に受け止めながら、チームを地道に改善。プレーオフ圏内に入っていくことを目指す。
◆選手それぞれが強みを磨いて成長し、強みを生かしてチームの勝利に貢献する。
◆若い選手を休ませない。近隣クラブや強豪大学と連携を図り、練習試合を積極的に実施する。24歳以下は2部練習を行うなど、鍛えていく。
◆30代後半でも成長できるのが日本人。ベテランでも若い選手に走り勝ち、自分の強みをチームの勝利に貢献できるレベルにすれば出場できる。
◆走行距離、スプリント回数、プレー強度を上げる(背後へのランニング、プレスバック)。
◆ボールを奪取した瞬間に、攻めることが重要。アグレッシブにゴールと勝利を“刈り獲る”。「仕掛ける」「奪う」そんな言葉では弱い。
◆その上で、カウンターと保持(ポゼッション)、前線プレスとミドルプレス。それぞれのバランスを局面ごとにとっていく。その基準をキャンプで意思統一したい。
◆相手の背後をとる動きが今年は少なかった。プレーの原理原則や個人戦術を徹底して、戦うためのベースを上げる。
◆個人戦術は指導(コーチング)でベースアップ。フィールドでは選手同士で新たなものを生み出していってほしい(と思っている)。
◆ベガルタ・グロウンを50%に近づける(下部組織出身の選手をトップチームの半数に)。10年単位になるので、その道筋を作る。
この辺りが、先に庄子GMが目指すチームビジョンを具現化するポイントかと思いますな。これから裏強化部では「ネオ・ベガルタ10ヵ条」とでも称することにしよう。
森山監督、なんと自ら手紙を書いて売り込んだとのことで。その熱意をチームに落とし込んで、長く指揮をとってほしいものですな!
そんな森山監督以下、コーチ陣は全員下部組織の指導経験あり。森山監督のS級ライセンス受講同期がヘッドコーチに、そして庄子GMの古巣・川崎さんのアカデミーからコーチをお招きするなど、強化部との連携を図りやすい体制を構築(S級ライセンス所持者は3名)。
また、ベガルタのアカデミー指導経験者も2名おり、下部組織と一体化した強化を意識している意図も感じられます。
クラブ創立30周年を迎え「育成型クラブ元年」となる我が軍の門出にふさわしい指導陣が組閣されましたな。
新加入のコーチングスタッフを紹介
さて。魅力的なビジョンとフットボールを具現化するために集った、5名の新たなコーチを紹介しよう(西洋祐コーチは留任)。
ヘッドコーチ:片渕 浩一郎 氏
サガン鳥栖から招聘。佐賀県出身で選手時代はサガン鳥栖、アルビレックス新潟でプレー。来年4月に49歳となる。S級ライセンス所持。
【指導歴】
2003年~2005年:アルビレックス新潟ユースコーチ
2006年~2011年:アルビレックス新潟ユース監督
2012年~2015年:アルビレックス新潟普及部コーチ 兼 日本サッカー協会ナショナルトレセンコーチ北信越地区担当(2014年からチーフ)
2016年1月~2016年8月:アルビレックス新潟コーチ
2016年9月~2016年12月:アルビレックス新潟監督
2017年:アルビレックス新潟コーチ
2018年1月~2018年7月:アルビレックス新潟ヘッドコーチ
2018年8月~2019年4月:アルビレックス新潟監督
2019年7月~2019年9月:アルビレックス新潟ホームグロウンコーディネーター
2019年9月~2022年:サガン鳥栖ヘッドコーチ
2023年:サガン鳥栖強化担当
指導歴は新潟の下部組織からスタートし、5年間のユース監督も含め12年間指導。教え子は現神戸のDF酒井高徳など。2016年からトップの指導にあたり、シーズン途中のトップチーム監督就任を2度経験した。
しかし、シーズン当初から指揮した2019年シーズンは逆に途中解任に(…と、書くと前監督の堀さんを思い出しますのう笑)。
その後、鳥栖に戻り3人の監督(カレーラス氏、金明輝氏、川井健太氏)のもとでヘッドコーチを務める。2023年からフロント入りも、現場への思いが湧き今回の決断。生まれ故郷のクラブを離れることになった。
実は森山監督とは接点があり、2013年S級ライセンス受講時の同級生(ちなみに先日紹介したとおり、川崎・鬼木監督も2013年受講。そして山形・渡邉監督も2013年受講。いやはや、なんと)。
片渕氏はいわゆるモチベータータイプで、選手の長所を伸ばすコーチングが信条と思われる。ユース時代には子どもたちに文武両道を求めるなど、森山監督と通ずるものがある。おそらくはライセンス取得時やユース指揮時に意気投合したのではなかろうか。
▼2016年、1度目就任時のシーズン振り返りインタビュー。
▼2023年11月、「育成学」をテーマに登壇した際の様子。
↓動画はこちら(抜粋版)
2024年シーズンは若手を対象にした2部練習や練習試合増が計画されており、もしかしたら若手を多く見るのかもしれませんな。その辺はまた考察しましょう。
コーチ:今野 章 氏
ご存知、川崎さんのU15生田から招聘。岩手県大船渡市出身で、選手時代はジュビロ磐田と川崎フロンターレでプレー。来年9月で50歳に。S級ライセンス所持。
【指導歴】
2007年~2010年:川崎フロンターレアシスタントコーチ
2011年~2012年:川崎フロンターレコーチ
2013年~2019年:川崎フロンターレU18監督
2020年~2022年:川崎フロンターレU15Bコーチ
2023年:川崎フロンターレU15生田コーチ
指導歴は、これまで川崎さん一筋。今野コーチも森山監督・片渕ヘッドコーチ同様、ユース監督を経験しております。
2013年には(2012年にトップの監督に就任した)風間八宏氏のフットボールを下部組織に落とし込むべく、ユース監督に就任。川崎さんが掲げる「育成型クラブ」の基礎を築いた。
教え子には、我が軍にもおなじみのDF板倉滉(ボルシアMG)・MF田中碧(デュッセルドルフ)・MF三好康児(アントワープ)・MF三笘薫(ブライトン)とすんごい面々が。
我が軍との接点は間違いなく庄子GM。「川崎にはちょっかいを出さない」と話していた庄子さん、東北出身の今野コーチには声をかけましたな。
▼川崎時代の引退前後インタビュー
▼川崎ユースの人材育成について触れている記事
▼川崎ユースについてのインタビュー
↑こちらはクラブ公式の動画なんですよね。ユースのPRにもなるし、育成型クラブのメッセージも内外に伝わる。いずれは我が軍でもこうした取り組みをしてほしいですな。
今野コーチはおそらく風間氏仕込みの「止める」「蹴る」といったテクニカルなトレーニングを担当するのではなかろうか。はたまた、若手を中心に見ることになるのか。
いやあ。広島ユースの黄金期を率いた森山監督、川崎ユースの礎を築いた今野コーチと、ともに生え抜き育成に定評のあるチームで長く指導された方々。
今季から留任した西コーチ(元ジュニアユース監督)は、彼らのもとであらゆるノウハウを存分に学んでほしい。いやあ、すごくいいなあ。下部組織とのパイプ役となって、一体化した強化を担ってほしいものです。
GKコーチ:植田 元輝 氏
仙台の下部組織(アカデミーチーフGKコーチ・ユース担当)からの配置転換でトップチームに。神奈川県出身で選手時代はサンフレッチェ広島、プロフェソール宮崎(九州リーグ)、佐川急便大阪/SAGAWA SHIGA FCにてプレー。来年5月で45歳。
【指導歴】
2010年~2012年:SAGAWA SHIGA FOOTBALL ACADEMYスクールコーチ
2013年~2014年:ベガルタ仙台レディースGKコーチ
2015年~2020年:ベガルタ仙台アカデミーGKコーチ
2021年~2022年:FC今治トップチームGKコーチ
2023年~:ベガルタ仙台アカデミーチーフGKコーチ(ユース)
おや、てっきり高桑さんだと思いきや…とは言うまい。我が軍の女子・下部組織で指導してきた植田さんがいよいよトップチームの指導を担当(トップの指導自体はFC今治で経験)。
サンフレッチェ広島で現役生活をスタートした植田さん。今治のGKコーチ就任の際には元広島監督の木村孝洋氏(以前、今治の強化担当および取締役だった)から誘われた様子。
もしかしたら、森山監督とも面識があるのかもですな(一応2000年は植田さんが広島最終年、森山監督が広島ユースコーチ/監督だった)。
ちなみに余談ですが…我が軍の育成部門責任者を務める山崎アカデミーダイレクターは、2009年2月~2013年1月までサンフレッチェ広島ユースにてコーチを務めていました。
ということは、森山監督のもとで指導していた経験があるのですな。ぜひ、我が軍のトップチームと下部組織をスムーズに連携させてほしい…!
フィジカルコーチ:村岡 誠 氏
森山監督が就任会見で「気心知れた方にお願いしている」と話していたとおり、つい先日までU17日本代表でフィジカルコーチを務めていた村岡氏を招聘。愛知県出身で、森山監督同様に筑波大学卒。来年6月で54歳となります。
【指導歴】
1998年~2000年:筑波大学蹴球部フィジカルコーチ
2001年~2002年:柏レイソルユースフィジカルコーチ
2001年~2004年:柏レイソルフィジカルコーチ
2005年:アルビレックス新潟レディースフィジカルコーチ
2005年:日本女子代表フィジカルコーチ
2006年:ロッソ熊本(現・ロアッソ熊本)フィジカルコーチ
2007年:アビスパ福岡フィジカルコーチ
2008年~2011年:モンテディオ山形フィジカルコーチ
2012年~2016年:フットサル日本代表フィジカルコーチ
2017年:U20フットサル日本代表フィジカルコーチ
2019年~2021年:ギラヴァンツ北九州フィジカルコーチ
2022年:U-16日本代表フィジカルコーチ
2023年:U-17日本代表フィジカルコーチ
フィジカルコーチ一筋25年。トップチーム以外にもユース・大学・女子・フットサルと、幅広い経験を積みに積んで今に至ります。
森山監督との出会いは、おそらく北九州で監督を務めていた小林伸二氏(もともとマツダ出身で、サンフレッチェ広島トップチームコーチや広島ユース初代監督を務めていた)絡みがきっかけかと思われます(女子日本代表の指導歴もあるので、普通にJFA絡みかもしれませんが)。
来季、相当な強度を求められるだろう我が軍。フィジカルコーチの腕が鳴るところです。とは言え、村岡氏はちゃんとロジカルにアプローチできる方。
向学心豊かで新たな理論を導入し、GPSも活用。負荷(強度)を調整しながら選手を鍛錬し、北九州ではスプリント回数でJ1を上回るレベルまで引き上げるなど、指導力に定評があります。ケアにも十分配慮している様子。
明らかに走り負けている(というかしっかりと走れていない)シーンが今季散見した我が軍。育成型も何も、ベースはフィジカルから。2012年の我が軍もそうでした。ぜひ、イチから鍛え直していただければと思います…!
(いやあ、今年のキャンプは大変そうだなあ…)
アナリスト兼コーチ:出口 拓馬 氏
Jリーグ4チームの下部組織・トップチームでコーチを務めてきた出口氏。奈良県出身で、来年12月で35歳となります。
【指導歴】
2013~2017年:東京学芸大学蹴球部コーチ
2014~2017年:FC東京サッカースクールコーチ
2018年:横浜FCアシスタントコーチ
2019年:京都サンガF.C分析担当
2020年:京都サンガF.Cアシスタントコーチ
2021年~2022年:V・ファーレン長崎コーチ
2023年:ギラヴァンツ北九州コーチ
さまざまな役職名はありますが、トップチームの指導ではおそらく分析(アナリスト)を中心に担当されていたのだと思われます。
ちなみに長崎時代は、我が軍を今オフ退団した貝﨑佳祐コーチの後任でした。奇遇にも我が軍で再び貝﨑氏の後任を務めます。
森山監督との接点(というか就任のきっかけ)を考えるに、おそらく村岡フィジコと同様にギラヴァンツ北九州の監督を今オフに辞した小林伸二氏つながりではなかろうか(推測ですからね)。
林や遠藤よりも若く、良い意味でフレッシュな雰囲気を持ち込んでほしいですな。CIAやMI6もビックリの緻密な分析をお願いいたします。
ストーブリーグは終盤へ
こちらの記事で日々更新しているとおり、来季の去就未発表は2023/12/22時点で残り6名(うちレンタル選手3名)となりました。
おそらくほぼ交渉の方向性は見えている(=情報公開のリリース順はもろもろ配慮されている)のだと思いますが、発表を待ちましょうぞ。
多くのファンが気になる選手の発表を残しているあたりがニクイ感じですな…!(まあ、実際交渉に時間がかかる案件もあるのでしょう)
先日発表された髙田選手のように、急な新加入リリースがあるかもしれませんのう。事前に報じられたマテウス選手、知念選手もお待ちしておりますぜ。
来季に向け、選手たちの抱負もちらほらと聞こえてきました。
開幕戦はアウェイ大分戦
ちなみに、チームの始動日は2024/1/10(水)です。
▼第1次:沖縄県糸満キャンプ
1/15(月)~1/28(日)
西崎運動公園陸上競技場
▼第2次:宮崎県延岡キャンプ
1/29(月)~2/5(月)
延岡市西階陸上競技場
▼第3次:宮崎県宮崎キャンプ
2/6(火)~2/18(日)
ひなた宮崎県総合運動公園 陸上競技場
▼J2リーグ開幕戦~第4節
■第1節
2/23(金・祝)or24(土)or25(日)
vs大分(アウェイ)
■第2節
3/2(土)or3/3(日)
vs長崎(アウェイ)
■第3節
3/9(土)or3/10(日)
vs水戸(ホーム)
■第4節
3/16(土)or3/17(日)
vs秋田(アウェイ)
第1節・第2節はともにアウェイ、そして九州…。第3節はホーム開幕水戸戦からの、第4節は同じ東北のアウェイ秋田戦。早速、秋春制のリハーサル的な日程ですな。
開幕戦はキャンプ地からそのまま赴くのだろうか…?
ではまた!